SR400 エンジンOH 前編

今回はSR400のエンジンのオーバーホールを紹介したいと思います。

このエンジンは分解された状態で送られてきたものになります。

組む人間が分解しないと状態がわからず調べる手間が何倍にもなります。

今回はそのようなエンジンです。頑張ります。

 

 

一目見て使用できないシリンダー、カムシャフト。歪んだシリンダーに新しいピストンを入れても直ることはありません。

またウエットブラスト処理がされていましたが残留メディアが多く、もう一度ウエットブラストを当て直します。

メディアはショット後すぐに処理しないとエアブローなどでは落とせなくなります。この状態でエンジンを組むと必ず壊れます。

残留メディアを取るためにメディアを当てるという作業をしてからガンコートで塗装します。

 

ここからスタートです。

 

 

 

クランクシャフトはピッチ部分が潰れており違和感のあるままナットを締めると最後、完全に潰れてしまいます。

手でスルスルとナットが入るのが正常ですのでこれをまず修正します。

テーパーになった部分を旋盤で修正します。

 

 

 

芯出しをします。

 

 

クランクを組みます。

ベアリング類は全て新品。

一つ一つ丁寧に圧入します。

 

 

 

ミッションの状態を見る為に分解します。

形状から80年代後半から90年代前半のもので状態も良くまだまだ使用できそうです。

 

 

 

シフトフォークはスムーズにスライドしないので分解して研磨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケースを組んだ後、オイルシールを取り付け他の腰下の部品を組んでいきます。

 

 

続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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SRX600 エンジンOHと整備

今回はSRではなくSRX600です。

新しいモデルの4型といえども古い車両です。

まだまだ乗っていただけるようにしっかりと整備をしたいと思います。

 

 

 

まずエンジンのOHから。

全てのベアリングを入れ替えます。

 

 

 

SRX400、SRX600のクランクベアリングはカムチェーンのギアと共に圧入されており通常では交換できません。

前述の通り全てのベアリングを入れ替えますのでギアを抜いた後、新品のベアリングを圧入します。

 

 

出る部品は新品を使用しながらバランサーやミッションを取り付けます。

 

 

重いクラッチを少しでも軽くしたいのですがプッシュロッドなど新品で手に入らない部品もあります。

 

 

 

ピストンは純正の96mm。

拡がったスリーブを外し、新たにスリーブを製作します。

耐久性抜群のターカロイ鋳鉄。

純正に合わせた寸法でボーリングした内径。

またSRXはスリーブ外径(シリンダーブロック内径)も変化しますので、シリンダーに合わせたスリーブを製作することが最大の利点となります。

 

 

最小で面研します。

 

 

シリンダーヘッドはSRでもお決まりのシートカットと研磨。

幅の狭い当たり面がとても気持ちいいです。

 

 

SRXのエンジンでいつも苦労するのがこのスタッドボルト。

エキパイのM6のスタッドボルトもなかなかですがこれらを全て新品に交換します。

 

 

 

新しいカムチェーン、テンショナーやガイド。

これで正常なバルブタイミングになります。

 

 

最後にタペットのクリアランスを調整して終わりです。

楽しい作業でした。

 

 

 

 

 

次は車体の全てのベアリングを交換します。

ステムはテーパーローラー。

しっかりとメンテナンスされていればちょうどいい重さで良好なハンドリングです。

 

 

フックをかけるボルトを適当に溶接でつくって吊って作業します。

ワイヤーケーブルや配線などに負担が少なく作業も早いです。

写真を忘れましたがホイールやスイングアームのベアリングやオイルシールも交換しました。

 

 

 

 

サスペンションのOHも終わり、最後にキャブレターです。

よく漏れるフューエルラインのOリングを含めたすべてのOリングを交換します。

稀に割れる浮動バルブも交換しました。

これで作業は終わりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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SR400 エンジンのこと

SR400、SR500のエンジンのOHの作業はブログでもよく紹介しています。

歴史も長く台数も多いSR、色々あります。

何の問題もなく分解できるのは稀で、ほとんどの場合何かあります。

紹介できないものも多いですが今回はその何かの一部を紹介したいと思います。

 

 

 

SR500のエンジンOHで外したピストンです。

ノーマルの状態でしたがピストンはご覧の通りSR400の純正ピストンに交換されています。

 

 

一度焼き付いています。

 

 

 

SR400とSR500はボアが同じです。

ストロークの違いによる圧縮の差をピストンの形状で合わせてあるのですがSR500にSR400のピストンを組むと圧縮比がかなり高くなります。

ボアが同じですので【ピストンを交換するだけの簡単チューニング】なんて流行ったことがあるのかは不明ですが結果はご覧の通りです。

よくあるトラブルの一つです。

 

軽い焼き付きでしたらエンジンは始動可能で走ることもできます。

このエンジンも始動していました。

 

ピストン径はマイクロメーターの数値通りですが変形しています。

 

 

 

変形したピストンがシリンダーを叩き続け、シリンダーの寸法も異常値になります。

 

 

 

オイルが上がり続けピストンにカーボンが堆積し更に圧縮が上がっていきます。

オイルが燃え続けているわけですから量が少なくなり、シリンダーヘッドにもその影響が及んできます。

 

摩耗したカムシャフトとロッカーアーム。

 

 

鈍感な人でもさすがに気付き始める状態ですが、まだ気が付かない人もいます。

このエンジンは乗っている人が壊したのではありません、壊れるエンジンに乗っていただけなのです。

 

 

 

 

 

もう一つ。

初期型のSR400のエンジンです。

 

分解すると色々分かります。

ケースは1983年式。

 

 

 

 

 

シリンダーも同じく1983年の頃のものです。

 

 

 

 

ところがヘッドは1979年のモデルのものになります。

 

 

 

ヘッドカバーは同じく1979年のものですが、ロッカーアームが違います。

 

 

 

カムもセットで交換されていたら問題ありませんがカムシャフトは初期型のものですのでこのままでは使用できません。

これよりも大きな問題なのは同じ1979年式のヘッドとヘッドカバーなのですがセットものではない為に両方使用できないということです。

 

それぞれに相方がいたはずなのですがどこに消えたのでしょうか。

もう見つかることはありませんのでこのヘッドとヘッドカバーは世に出回らないように捨てなければなりません。

 

このエンジンもまたこのまま乗り続けていたら壊れることになったわけですが、乗っていた人の乗り方が悪くて壊れたわけでもなく壊れるエンジンに乗っていただけなのです。

 

 

SR400,SR500のエンジンでこのようなトラブルが多い理由はモデルチェンジをしても形状がほとんど変わっていない点にあります。

年式が違っていても部品を組むことができるのです。

焼きなどの処理の違い、材質の違いがあれど組めてしまいますので中古部品や年式違いの部品などを組むことによって【ちゃんぽんSR】が完成してしまいます。

 

こうしたSRをOHし安心して乗ることができるようにこれからもエンジンを開け続けたいと思います。

中を開けて部品を綺麗にすることだけがOHではないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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