年別: 2022年
SR400 エンジンのこと
SR400、SR500のエンジンのOHの作業はブログでもよく紹介しています。
歴史も長く台数も多いSR、色々あります。
何の問題もなく分解できるのは稀で、ほとんどの場合何かあります。
紹介できないものも多いですが今回はその何かの一部を紹介したいと思います。
SR500のエンジンOHで外したピストンです。
ノーマルの状態でしたがピストンはご覧の通りSR400の純正ピストンに交換されています。
一度焼き付いています。
SR400とSR500はボアが同じです。
ストロークの違いによる圧縮の差をピストンの形状で合わせてあるのですがSR500にSR400のピストンを組むと圧縮比がかなり高くなります。
ボアが同じですので【ピストンを交換するだけの簡単チューニング】なんて流行ったことがあるのかは不明ですが結果はご覧の通りです。
よくあるトラブルの一つです。
軽い焼き付きでしたらエンジンは始動可能で走ることもできます。
このエンジンも始動していました。
ピストン径はマイクロメーターの数値通りですが変形しています。
変形したピストンがシリンダーを叩き続け、シリンダーの寸法も異常値になります。
オイルが上がり続けピストンにカーボンが堆積し更に圧縮が上がっていきます。
オイルが燃え続けているわけですから量が少なくなり、シリンダーヘッドにもその影響が及んできます。
摩耗したカムシャフトとロッカーアーム。
鈍感な人でもさすがに気付き始める状態ですが、まだ気が付かない人もいます。
このエンジンは乗っている人が壊したのではありません、壊れるエンジンに乗っていただけなのです。
もう一つ。
初期型のSR400のエンジンです。
分解すると色々分かります。
ケースは1983年式。
シリンダーも同じく1983年の頃のものです。
ところがヘッドは1979年のモデルのものになります。
ヘッドカバーは同じく1979年のものですが、ロッカーアームが違います。
カムもセットで交換されていたら問題ありませんがカムシャフトは初期型のものですのでこのままでは使用できません。
これよりも大きな問題なのは同じ1979年式のヘッドとヘッドカバーなのですがセットものではない為に両方使用できないということです。
それぞれに相方がいたはずなのですがどこに消えたのでしょうか。
もう見つかることはありませんのでこのヘッドとヘッドカバーは世に出回らないように捨てなければなりません。
このエンジンもまたこのまま乗り続けていたら壊れることになったわけですが、乗っていた人の乗り方が悪くて壊れたわけでもなく壊れるエンジンに乗っていただけなのです。
SR400,SR500のエンジンでこのようなトラブルが多い理由はモデルチェンジをしても形状がほとんど変わっていない点にあります。
年式が違っていても部品を組むことができるのです。
焼きなどの処理の違い、材質の違いがあれど組めてしまいますので中古部品や年式違いの部品などを組むことによって【ちゃんぽんSR】が完成してしまいます。
こうしたSRをOHし安心して乗ることができるようにこれからもエンジンを開け続けたいと思います。
中を開けて部品を綺麗にすることだけがOHではないのです。
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SR400 カスタムオーダー
カスタムオーダーで製作したSR400を紹介します。
フレーム、足回りは全てパウダーコート。
耐久性抜群でフルカスタムオーダーの場合は必ず行います。
エンジンはOHし、耐熱性や耐油性に優れたセラコートと腐食に強いパウダーコートを使い分けて仕上げてあります。
ハンドル回りは可能な限りスッキリさせます。
とは言っても手の届く範囲に全てのスイッチがあります。
当たり前のことですが保安部品も全て作動します。
取るだけではダメなんです。
サスペンションやステップはノーマルを使用していますので乗り心地は非常にいいです。
ステンレス薄肉パイプから製作した手曲げマフラー。
優しいカーブの手曲げが好きで、頼まれていないのに勝手に製作しました。
シートはアルミベースから製作。
加工したループフレームの上にぴったりと乗る感じでレザーは濃い目のブラウンを選びました。
以上です。ありがとうございました。
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