カスタムオーダー【SRのつくりかた 70sカスタム編】1
カスタムオーダーとしてSRの製作をしておりますが一体どのように製作しているのか紹介したいと思います。
カスタムというのは整備ができているということが大前提です。
整備やレストアができて初めてまともなカスタムができると考えています。
ですのでカスタムの紹介だけでなく整備やレストアの作業も紹介します。
ここで紹介するのはカスタムオーダーとしての一例ですが参考にしていただけたらと思います。
まずはベース車のご紹介。
車両がなければ始まりません。
ベースはドラム型のSRですが、初期型のキャストホイールが付いています。
これを分解していきます。
【エンジン編】
エンジンをブラックに塗装します。
エンジンを塗装するためには分解しなくてはいけません。
理由は主に2つです。
・「足付け」と呼ばれる下地の工程がブラスト処理でないとできない。
足付けは塗装の下地では基本的な作業であり大切な作業です。
タンクなどを塗装する時にペーパーをあてる作業と同じですがエンジン場合フィンの奥などは磨くことができません。
足付けができていないと出来上がった時の仕上がりは同じでも後に必ずボロボロになります。
そこでブラスト作業が必要なのですがブラストをするには分解が必要なのです。
・エンジンの塗装は焼き付け塗装が基本。
塗料には様々な種類があり、塗る部品や用途によって使い分ける必要があります。
よく見かけるのがウレタン塗装。これはタンクなど外装に使用される塗料です。
調色もでき、季節を問わず安定的に塗れ、ラインやぼかしなどデザイン性に優れた塗料です。
後から塗られたエンジンはほとんどがウレタン塗装です。(缶スプレーは論外とさせてください)
ウレタン塗装はボルトやナットのトルクに耐えることができない為、これもまたいずれ剥がれてしまいます。
最適な塗料は基本的には焼き付けるタイプの塗料です。(例外もあるので基本的とさせていただきました。)
焼き付けるにはオイルシールやOリングを外さなくてはいけません。更に内部のオイルも完全に取り除く必要があります。
これが分解する理由です。
説明が長くなりました、作業の続きです。
洗浄しブラストが終わりました。
セラコートでブラックにします。
低温で艶を安定させてから中高温で長く焼き付けます。
ブラックで塗り上がったエンジンです。
シリンダーヘッドのフィンを削り、バフ研磨します。
今回は塗装のついでですので大きな仕様変更はしません。
圧縮はノーマルそのままに、しかしながら低回転からトルクを体感できるようなエンジンに仕上げたいと思います。
ミッションは問題ありません。
確認後取り付けます。
排気量は500です。
腰上の組み立てをします。
ナットはウエットブラストです。
カム、ロッカーアームはストックを使用。
カムチェーンは伸びすぎるとバルブタイミングが変わってきます。
仮に伸びてきてカム側で1/4コマ変わったとしてもクランク角で約5度です。
要注意です。
出来上がりました。
新しいSRのクラッチスプリングを使用し軽々クラッチ仕様にしました。
【ブレーキ編】
ベースとなる車両に初期型のブレーキが装着されておりましたのでOHをして使用したいと思います。
初期型のキャリパーとローター。
まず分解。
固着ありです。
錆よりも気になるのはこの矢印の部分。
キャリパーセンターを出すために削られています。
グラインダーで削ってもセンターを出すことはできません。
フライスで面を出します。
2つのボルト穴を揃えるのに結局1.5mm位削りました。
これでは後にセンターは出せません。シムで調整しようと思います。
ようやくブラストです。
錆を含め、古い塗料を剥がさないと本当のレストアとは言えません。
剥離剤は塗料は剥がせるのですが錆は取れません。
塗料は耐フルード性に優れたセラコートを使用します。
ピストンは表面はバフ研磨、裏はセラコートで錆びないように処理しました。
新しいシールキットを使用して組み立てます。
手でピストンがスッと入ります。
完成です。
ローターも綺麗になりました。