エンジンボアアップ
ここではボアアップを含めたエンジンチューンやスープアップについて説明します。
エンジンをチューンする目的はおそらくパワーアップだと思います。
パワーアップをする場合、最も有名なエンジンチューンは排気量アップでしょう。
SRの場合、ノーマルで400ccと500ccがあります。
400をボアアップして500にするということをよく聞きますが、これは正解のようで正解ではありません。
ボアアップとはシリンダーの内径(ボア)を広げて大きなピストンを組むことです。
SRのことをよく知っている人なら当然のことですが、400から500にすることをストロークアップと言います。
排気量は内径(ボア)と行程(ストローク)で決まります。
計算は1以上の数を乗じることしかしませんので、どちらかが大きくなれば必ず排気量は大きくなります。
SR400の場合は 内径87mm 行程67.2mm で399cm3
SR500の場合は 内径87mm 行程84mm で499cm3
いかがでしょうか、大きくなっているのは行程(ストローク)だけです。
ですので、400から500にする場合はストロークアップが正解です。
ここからはボアアップの話になります。
おさらいですがピストンの外径が大きくなると(シリンダーの内径が大きくなると)ボアが広がりますので「ボアアップ」となります。
SRのノーマルのピストンは87mmです。
ここから大体ですが1mm単位で色々なメーカーからピストンが販売されています。
有名なメーカーでは、ワイセコ、コスワース、JE、などがあります。
ショップからもリリースされていますので、用途に合ったピストンを選ぶことが容易です。
ピストンが1mm大きくなることに排気量が変化します。
SR400ベース | SR500ベース | |
87mm(ノーマル) | 399cc | 499cc |
88mm | 408cc | 510cc |
89mm | 418cc | 522cc |
90mm | 427cc | 534cc |
91mm | 437cc | 546cc |
93mm | 456cc | 570cc |
95mm | 476cc | 595cc |
96mm | 486cc | 608cc |
このようにボアが広がると排気量が変化します。
ここでまたよく聞かれることがあります。
「500ccから510ccってほとんど変わらないんじゃないの。だったら595ccにしたい。」
これは他の条件が全く同じでしたらその通りです。
排気量とパワーが比例します。
ところが実際はそうではありません。
それはピストンを交換することによって変わる「圧縮比」というものや、ピストン以外の部品「カムシャフト」「バルブ」などがあるからです。
圧縮比というのは混合気をどこまで圧縮するかという比率です(容積比率)。
たくさんの混合気をできるだけ小さく圧縮した方がパワーを得ることができます。
ノーマルの圧縮比は約8.5:1です。
社外のピストンに交換した場合9.0:1から大きいものだと12:1のような圧縮比になる場合もあります。
ここで問題となるのは圧縮は上げればよいというものではありません。
圧縮を上げすぎる(燃焼室の容積が小さくなる)とピストンとバルブによる干渉やノッキングといった問題が出てきます。
圧縮比はピストンによって決まっていますが、チューンをする場合は実測します。
カムシャフトやバルブなどの部品はピストンと共にエンジンの性格を決める重要な部品です。
カムシャフトは混合気の吸気量や吸気時間を調整する部品です。(排気も同様です。)
これらの部品は圧縮比とも密接な関係があります。
「ハイカム」という言葉を聞いたことがあると思います。
これはハイリフトカムシャフトと言って、混合気の吸気量を多く、吸気時間を長くする部品です。
ハイカムにはバルブを大きく開いて吸気量を増やすタイプとバルブを長い時間開いて吸気量を増やすタイプの2種類があります。
これもまた開けば開くほどよいというわけではありません。
バルブがたくさん開くとどうなるでしょうか、先ほど説明したピストンとバルブが当たる可能性が大きくなります。
バルブが長い時間開くとどうでしょうか、圧縮は密閉された空間で起こります。長い時間開くことで密閉時間が短くなり、実質の圧縮が下がります。
ここで重要なのがバルブタイミングです。
これを調整することで最適なタイミングでバルブを開かせることができます。
ピストンとバルブのクリアランスも実際に当たる、当たらないではなくクリアランスが何ミリなのか計測します。
いかがでしょうか、簡単ですがざっと説明しました。
ボアアップしてハイカム入れたら速くなるぞ!っていうわけでもなさそうです。
内燃機関の動きを想像しながら組み立てるエンジンチューンはやりがいのある仕事の一つです。
もしよければ色々と相談してください。
エンジンのボアアップなどのチューンはOHが前提の作業です。
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中身も大切ですがエンジンは外観も大切です。
エンジンのペイントもご覧ください。
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